手形廃止後の支払い方法を比較|でんさい・銀行振込・請求書カード払い・ファクタリングの違い
最終更新:2026-06 / 情報確認:2026-06-05

紙の手形・小切手は、2027年3月末に電子交換所での交換廃止が予定されています。全国銀行協会は、でんさいや振込などへの切替えを呼びかけています。なお、2027年度初から紙の手形・小切手が一律に使えなくなるという意味ではなく、電子交換所を介さない決済になるため、金融機関ごとの取扱い変更に注意が必要です。
また、支払サイトの長期化を見直す動きも進んでいます。2024年11月以降、60日を超える手形・電子記録債権・一括決済方式による支払いは、下請法上の行政指導対象となる方針が示されました。2026年1月1日以降に発注される取適法対象取引では、手形による支払いが禁止され、電子記録債権等も支払期日までに代金相当額を得ることが困難なものは問題となります。
この記事の要点
- 2027年3月末で電子交換所の手形・小切手交換は廃止予定。紙の手形から電子的決済への移行が進みます。
- 制度上の移行先はでんさい・銀行振込が中心。支払い猶予は請求書カード払いで補完できる場合があります。
- 買い手は支払い実行、売り手は入金時期が課題。立場別に手数料と社内フローを確認します。
結論からいうと、手形の置き換えはでんさいと銀行振込が中心です。請求書カード払いは、手形やでんさいと同じ制度上の支払手段ではなく、買い手側が一時的に支払いタイミングを調整したいときの補完策として考えるのが現実的です。
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手形の代替手段を一覧で比較したい方は、こちらをご覧ください。
手形廃止後の支払い方法を比較する何が変わるか:2027年3月末の交換廃止と60日超サイト見直し
「手形廃止」といっても、実務では大きく2つの変化を分けて考える必要があります。
1つ目は、紙の手形・小切手の交換インフラの変更です。全国銀行協会は、2027年3月末に手形・小切手の交換が廃止されるとして、でんさいや振込等への切替えを促しています。
2つ目は、長い支払サイトの見直しです。経済産業省・中小企業庁・公正取引委員会は、60日を超える手形等のサイトを問題視し、支払条件の改善を進めています。2026年1月施行の取適法では、対象取引における手形払等の扱いがさらに厳格化されています。
| 時期 | 変化 | 中小企業が確認したいこと |
|---|---|---|
| 2024年11月以降 | 60日を超える手形等のサイトが行政指導対象となる運用へ | 既存の支払条件が60日超になっていないか |
| 2026年1月1日以降 | 取適法対象取引で手形払等の扱いが厳格化 | 自社取引が取適法対象か、支払期日と支払手段が適合しているか |
| 2027年3月末 | 電子交換所での手形・小切手交換廃止予定 | でんさい、銀行振込、その他支払方法への移行計画 |
ここで注意したいのは、「支払方法」と「支払サイト」は別の論点だという点です。支払方法をでんさいや銀行振込に変えても、取引条件として入金までの期間が長すぎれば、支払条件の見直しが必要になる場合があります。
代替手段の早見表:でんさい・銀行振込・請求書カード払い・ファクタリング・BtoB掛け払い
でんさいは、株式会社全銀電子債権ネットワークが取り扱う電子記録債権で、手形・売掛債権等の問題点を克服した金銭債権として説明されています。手形と異なり紙の保管や郵送が不要で、印紙税が課税されない点などが特徴です。
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| 支払い・資金繰り手段 | 主な利用者 | 何を解決しやすいか | 買い手側の見方 | 売り手側の見方 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| でんさい | 買い手・売り手双方 | 紙の手形に近い期日決済、電子化、債権管理 | 手形に近い運用を電子化しやすい | 受取債権を電子的に管理しやすい | 取引金融機関での利用可否、手数料、取適法対象取引での支払期日適合は公式サイトで要確認 |
| 銀行振込 | 買い手中心 | 現金払い化、事務の標準化 | 支払期日に資金流出が発生する | 入金確認がしやすい | 振込手数料負担、支払日、消込フローを要確認 |
| 請求書カード払い | 主に買い手 | 支払いタイミングの調整、短期的な支払い猶予 | 取引先には銀行振込で支払い、自社はカード支払日に支払う形を取りやすい | 原則として支払方法の変更を求められにくい場合がある | 手形・でんさいと同じ制度上の支払手段ではない。手数料、利用枠、対象請求書、支払先条件は公式サイトで要確認 |
| ファクタリング | 主に売り手 | 売掛債権の譲渡による資金化 | 買い手に通知・承諾が必要な方式もある | 入金前の売掛債権を資金化する選択肢 | 手数料、契約形態、債権譲渡通知、会計処理は公式サイト・専門家に要確認 |
| BtoB掛け払い | 買い手・売り手双方 | 与信、請求、回収、掛け払い運用の外部化 | 掛け払いの支払窓口を整理しやすい | 請求・回収業務の負担軽減につながる場合がある | 与信条件、保証範囲、入金タイミング、手数料は公式サイトで要確認 |
目的別の選び方
| 目的 | 向きやすい選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 紙の手形を電子化したい | でんさい | 手形に近い期日決済の運用を電子化しやすい |
| 支払いをシンプルにしたい | 銀行振込 | 多くの企業で導入済みで、入出金管理を標準化しやすい |
| 買い手側で支払いタイミングを調整したい | 請求書カード払い | 立替払いにより、自社の資金流出タイミングを後ろに寄せられる場合がある |
| 売り手側で入金前の売掛債権を資金化したい | ファクタリング | 売掛債権の譲渡により、入金前の資金化を検討できる |
| 請求・与信・回収を外部化したい | BtoB掛け払い | 掛け払い運用をサービス側に委ねられる場合がある |
買い手側・売り手側で選択肢が異なる理由
手形廃止後の代替手段は、買い手側と売り手側で見え方が異なります。
買い手側は「どう支払うか」が課題になる
買い手側の主な論点は、支払期日にどの方法で支払うかです。
- 紙の手形をやめて、でんさいへ移行する
- 現金払い化し、銀行振込へ移行する
- 一時的な資金流出の調整として、請求書カード払いを使う
- BtoB掛け払いサービスを使い、請求・支払管理を整理する
買い手側は、支払方法の変更にあわせて、社内承認、支払データ作成、会計処理、取引先への通知・合意を見直す必要があります。
売り手側は「いつ入金されるか」が課題になる
売り手側の主な論点は、売上代金がいつ、どのように入金されるかです。
- でんさいで受け取り、期日管理を電子化する
- 銀行振込で受け取り、入金消込を簡素化する
- 入金前の売掛債権をファクタリングで資金化する
- BtoB掛け払いサービスで請求・回収の負担を下げる
売り手側は、買い手が選ぶ支払方法の影響を受けやすい立場です。そのため、支払条件の変更を受けるだけでなく、入金サイト、手数料負担、債権管理の方法を確認することが重要です。
請求書カード払いが使いやすいケース
請求書カード払いは、買い手側が請求書の支払いにカードを使い、サービス事業者が支払先へ立替払いを行う仕組みです。取引先がカード決済に対応していなくても、支払先には銀行振込で支払える設計のサービスがあります。ただし、対応可否や条件はサービスごとに異なるため、公式サイトで要確認です。
請求書カード払いは、手形やでんさいの制度上の置き換えではありません。位置づけとしては、買い手側の支払い猶予を補完する手段です。
使いやすいケース
- 手形から銀行振込へ移行した結果、支払期日の資金流出が前倒しになった
- 入金予定と支払予定のズレが一時的に発生している
- 取引先には期日どおり支払い、自社の資金流出タイミングをカード支払日に寄せたい
- でんさいや銀行振込を基本にしつつ、月末・繁忙期だけ補完策を持ちたい
- 社内でカード利用規程、承認フロー、利用上限を管理できる
CTA|請求書カード払いの仕組みを見る
請求書カード払いの流れ、手数料、利用時の注意点を確認したい方はこちら。
請求書カード払いの仕組みを見る使うべきでないケース
- 支払い猶予ではなく、恒常的な赤字や資金不足を補う目的になっている
- 手数料を含めると、取引の粗利や資金繰りに合わない
- カード利用枠や社内規程に余裕がない
- 取引先との契約で、第三者による立替払い・支払名義・支払方法に制限がある
- 会計処理、証憑管理、カード明細との照合フローが整っていない
- 取適法対象取引で、支払期日や手数料負担に関する整理ができていない
請求書カード払いは便利な場面がありますが、支払方法の中心に据えるよりも、銀行振込・でんさいへの移行を前提にした補完策として設計するほうが実務に合いやすいです。
移行前に確認する社内フロー・取引先合意・手数料負担・会計処理
手形から別の支払方法へ移行する前に、次の項目を確認しておきましょう。
| 確認項目 | 買い手側の確認ポイント | 売り手側の確認ポイント |
|---|---|---|
| 社内フロー | 支払申請、承認、支払データ作成、カード利用承認の変更 | 入金確認、消込、債権管理、督促フローの変更 |
| 取引先合意 | 支払方法、支払日、支払名義、通知方法 | 入金日、手数料負担、支払方法変更の書面化 |
| 手数料負担 | 振込手数料、でんさい手数料、カード払い手数料 | 受取手数料、債権譲渡時の手数料、入金額の確認 |
| 会計処理 | 支払計上日、未払金処理、カード明細との照合 | 売掛金、受取債権、入金消込、債権譲渡時の処理 |
| 法令・制度対応 | 取適法対象取引か、支払期日が適切か | 支払条件が不利に変更されていないか |
| システム対応 | 会計ソフト、インターネットバンキング、でんさい連携 | 請求書発行、入金消込、債権管理の連携 |
特に手数料負担は、取引先との合意だけでなく、取適法対象取引で問題がないかも確認が必要です。公正取引委員会の資料では、2026年1月1日以降の取適法対象取引で、振込手数料を中小受託事業者に負担させることは問題になると説明されています。
手形廃止後の支払い方法はどう選ぶか
1. まずは「制度上の移行先」を決める
紙の手形をやめる場合、最初に検討するのはでんさいと銀行振込です。
- 手形に近い期日決済や電子債権管理を残したい:でんさい
- シンプルな現金払いに寄せたい:銀行振込
- 取引先がでんさいに対応していない:銀行振込を中心に検討
- 支払サイト短縮で買い手側の資金流出が重くなる:請求書カード払いを補完策として検討
2. 次に「買い手側の資金流出」を確認する
手形から銀行振込に変えると、買い手側は支払期日に資金が出ていくため、従来よりも資金繰りの負担が大きくなる場合があります。
| 状況 | 検討しやすい対応 |
|---|---|
| 一時的に支払日と入金日のズレがある | 請求書カード払い |
| 支払条件全体を見直したい | 取引先との支払サイト再協議 |
| 紙手形の管理を減らしたい | でんさい |
| 支払業務を標準化したい | 銀行振込・会計システム連携 |
3. 売り手側は「入金の確実性」と「手数料」を確認する
売り手側では、入金時期だけでなく、手数料を差し引いた実入金額も重要です。
- 銀行振込:入金確認がしやすいが、振込手数料の扱いを確認
- でんさい:電子債権として管理できるが、利用手数料・取引金融機関の対応を確認
- ファクタリング:売掛債権の譲渡による資金化が可能だが、手数料・契約形態を確認
- BtoB掛け払い:請求・回収業務の外部化に向く場合があるが、保証範囲や入金日を確認
FAQ
Q1. 手形は2027年4月から使えなくなるのですか?
2027年3月末に電子交換所での手形・小切手交換が廃止される予定です。ただし、全国銀行協会は、2027年度初から手形・小切手が使用できなくなるものではないとも説明しています。実務上は、金融機関ごとの取扱変更や個別取立等の可能性があるため、早めにでんさい・銀行振込などへの移行を検討する必要があります。
Q2. 紙の手形の代替は、でんさいと銀行振込のどちらがよいですか?
手形に近い期日決済や電子債権管理を残したい場合は、でんさいが候補になります。支払いをシンプルにし、現金払い化を進めたい場合は、銀行振込が候補になります。どちらが合うかは、取引先の対応状況、手数料、社内の会計・承認フローによって変わります。
Q3. 請求書カード払いは手形の代わりになりますか?
請求書カード払いは、手形やでんさいと同じ制度上の支払手段ではありません。買い手側が請求書の支払いをカードで行い、支払いタイミングを調整するための補完策です。手形廃止後の中心的な移行先は、でんさいや銀行振込として整理するのが自然です。
Q4. 売り手側が早く入金したい場合はどうすればよいですか?
売り手側では、銀行振込への変更交渉、でんさいの利用、ファクタリングによる売掛債権の譲渡などが候補になります。ファクタリングは売掛債権の譲渡による資金化であり、手数料・契約形態・債権譲渡通知の有無を確認する必要があります。
Q5. 支払サイト60日超は、取引先と合意していれば問題ありませんか?
取適法対象取引では、合意の有無だけで判断できません。2024年11月以降、60日を超える手形等は行政指導対象となる方針が示され、2026年1月以降の取適法対象取引では手形払等の扱いがさらに厳格化されています。対象取引に該当するかは、公式資料や専門家に確認してください。
Q6. 振込手数料やサービス手数料は誰が負担しますか?
銀行振込、でんさい、請求書カード払い、ファクタリング、BtoB掛け払いのいずれも、手数料の種類と負担者を事前に確認する必要があります。取適法対象取引では、振込手数料を中小受託事業者に負担させる扱いが問題になる場合があります。
Q7. 請求書カード払いを使う前に確認することは何ですか?
主に、手数料、カード利用枠、支払先への着金日、支払名義、対象となる請求書、会計処理、社内承認フローを確認します。条件はサービスごとに異なるため、公式サイトで要確認です。
Q8. でんさいを使うには何が必要ですか?
でんさいは、取引金融機関を通じて利用する電子記録債権です。利用できる金融機関、申込方法、手数料、操作方法、取引先側の対応状況は、取引金融機関またはでんさいネットの公式情報で確認してください。
まとめ:手形の置き換えは「制度対応」と「資金繰り補完」を分けて考える
手形廃止後の支払い方法は、ひとつの方法だけで考えるよりも、目的別に分けると整理しやすくなります。
- 紙の手形から制度上の移行を進める:でんさい・銀行振込
- 買い手側の支払いタイミングを調整する:請求書カード払い
- 売り手側が入金前の売掛債権を資金化する:ファクタリング
- 請求・与信・回収業務を整理する:BtoB掛け払い
請求書カード払いは、手形やでんさいと同じ制度上の支払手段ではありません。ただし、銀行振込化や支払サイト短縮で買い手側の資金流出が前倒しになる場面では、補完策として検討できます。
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参考・出典
本記事は、各社公式サイトおよび公的機関の公開情報をもとに作成しています。 情報の最終確認日は2026-06-05です。