2026年の手形払い禁止で中小企業の支払いはどう変わる?
最終更新:2026-05 / 情報確認:2026-05-04

日本では長年、企業間取引の支払い手段として約束手形・小切手が使われてきましたが、政府は2026年を目途に紙の手形・小切手の利用を実質的に廃止する方針を打ち出しています。本記事では、廃止の背景、中小企業への影響、移行先となる代替手段(電子記録債権・請求書カード払いなど)を整理します。
この記事の要点
- 2026年を目途に紙の約束手形・小切手の利用が実質廃止される方針が政府から示されています。
- 背景は中小企業の資金繰り改善と、サイト長期化による下請けへのしわ寄せ是正です。
- 代替手段として電子記録債権、銀行振込、請求書カード払いなどが選択肢になります。
何が変わるのか
政府は2021年以降、紙の約束手形・小切手の利用を段階的に減らす方針を示してきました。具体的には、2026年を目途に銀行界における紙の手形・小切手の取扱を終了する方向で議論が進んでいます。これに合わせて、中小企業庁は手形のサイト(支払期日までの日数)を短縮するよう業界団体や大企業に要請を続けています。
手形そのものが法律上禁止されるわけではありませんが、銀行が紙の手形を取り扱わなくなれば、実質的に流通は止まります。企業は別の支払い手段への移行が必要になります。
廃止の背景
- 下請け中小企業の資金繰り負担:手形のサイト(60日・90日・120日など)が長く、下請企業の資金繰りを圧迫してきた
- 事務コストの大きさ:紙の手形は印刷・印紙・発送・保管・取立といった多くの事務作業が必要
- 不渡りリスク:手形の不渡りが連鎖倒産を招く構造的リスク
- キャッシュレス化・電子化の流れ:行政・金融全般のデジタル化方針との整合
下請法・独占禁止法の運用でも、サイト60日超の手形払いは「下請代金の支払遅延」に該当する恐れがあるとの指針が示されています。
中小企業への影響
受け取る側(売り手)
- 手形による長サイト支払いを受けることが減る → 資金繰り改善
- 従来の手形割引による資金化ができなくなる → 別の早期資金化手段が必要
支払う側(買い手)
- 手形でサイトを延ばす運用ができなくなる → 自社の資金繰り対策が必要
- 銀行振込や電子記録債権、カード決済への移行コスト
代替手段
電子記録債権(でんさい等)
手形と類似の機能を電子化したもの。発行・流通・取立をすべて電子的に行えるため事務コストが低く、紛失・盗難リスクもありません。一括ファクタリングや早期資金化サービスとも連携しやすい仕組みです。
銀行振込
最も基本的な手段。サイトを短くせざるを得ないため、買い手にとっては資金繰りが厳しくなります。
請求書カード払い
買い手側が支払いをカード決済に置き換え、現金支払いを最大60日先延ばしできる手段。手形廃止で短いサイトでの振込を求められた場合の資金繰り調整策として活用できます。詳細は請求書カード払いとは?をご覧ください。
ファクタリング
売り手側が売掛債権を期日前に資金化する手段。手形割引の代わりとして使えます。ただし違法業者には注意が必要です。詳細はファクタリングとは?をご覧ください。
今から備えること
- 取引先と支払条件の見直しを開始:いつまでに何の手段に切り替えるかを協議
- でんさいネット等の利用検討:取引銀行に相談
- 請求書カード払い・ファクタリング等の代替手段を比較・準備:実際に使うかは別として、選択肢を持っておく
- 会計・経理システムの対応:手形管理機能から電子決済への切替対応
- 資金繰り計画の再構築:サイト短縮を前提にしたキャッシュフロー予測
関連リンク
参考・出典
情報の最終確認日は2026-05-04です。