給与ファクタリングはなぜ違法とされるのか|事業者向けファクタリングとの違い
この記事の要点。
- ・給与ファクタリングを業として行うことは貸金業に当たるとの最高裁判決が示されています(令和5年2月)。
- ・金融庁は、貸金業登録のない給与ファクタリング業者を「違法なヤミ金融」として注意喚起しています。
- ・事業者向けファクタリング(売掛債権の買取)とは対象・利用者・法的扱いが異なり、当サイトは給与ファクタリングを掲載していません。
給与ファクタリングとは
給与ファクタリングは、労働者個人が勤務先から受け取る予定の給与(賃金債権)を業者に買い取らせ、手数料を差し引いた現金を先に受け取る取引を指します。「借金ではない」「債権の売買だから貸金業ではない」といった説明で勧誘されることがありますが、公的機関の見解はこれと異なります。
なぜ貸金業に該当するとされるのか
賃金には労働者へ直接支払われるべきという労働法上の原則があるため、給与を「買い取った」とする業者も、実際には労働者本人から資金を回収する形になります。この構造から、最高裁は令和5年2月の判決で、給与ファクタリングを業として行うことは貸金業に当たるとの判断を示しました。金融庁も同様の見解のもと、貸金業登録のない給与ファクタリング業者は違法なヤミ金融であるとして注意喚起しており、手数料と称する負担は実質的に極めて高い金利に相当する場合があると指摘しています。
事業者向けファクタリングとの違い
事業者向けファクタリングは、事業として発生した売掛債権(企業間取引の入金予定)を対象とする資金化の手段で、広く利用されています。給与ファクタリングとは次の点で異なります。
- 観点対象となる債権
- 事業者向けファクタリング事業の売掛債権(企業間取引)給与ファクタリング個人の賃金債権(給与)
- 観点利用者
- 事業者向けファクタリング法人・個人事業主給与ファクタリング労働者個人
- 観点法的な扱い
- 事業者向けファクタリング債権譲渡による資金化として利用されている給与ファクタリング業として行えば貸金業に該当(最高裁判決)。無登録業者は違法
- 観点当サイトの扱い
- 事業者向けファクタリング比較DBの対象給与ファクタリング掲載対象外
巻き込まれないための確認ポイント
個人向けに「給与の前払い」「即日現金化」をうたう勧誘に接した場合や、事業者向けと称する契約でも内容に不安がある場合は、次の点を確認してください。
- ・個人の給与を対象とする「買取」の勧誘は、貸金業登録の有無にかかわらず利用しない(金融庁が注意喚起している領域です)
- ・事業者向けの契約でも、償還請求権・買戻特約つきの契約は実質的な貸付にあたるおそれがあります(偽装ファクタリング)
- ・契約書・手数料の内訳・契約形態が不透明な場合は、契約前に専門家(弁護士等)への確認を推奨します
公的な相談窓口
既に契約してしまった場合や、悪質な取り立てを受けている場合は、ひとりで対応せず公的な窓口に相談してください。
- ・金融庁 金融サービス利用者相談室(違法な金融業者に関する情報受付)
- ・警察相談専用電話「#9110」(取り立て・脅迫など緊急性がある場合は110番)
- ・法テラス(日本司法支援センター。法的トラブルの相談先案内)
参考・出典。
- 金融庁「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」確認日:2026-07-11
よくある質問
Q. 給与ファクタリングはすべて違法ですか?
最高裁判決により、給与ファクタリングを業として行うことは貸金業に該当するとされています。貸金業登録なくこれを行う業者は違法であり、金融庁はヤミ金融として注意喚起しています。個人としては、登録の有無を問わずこの形の取引を利用しないことを推奨します。
Q. 事業者向けのファクタリングも違法なのですか?
事業の売掛債権を対象とする通常のファクタリングは、債権譲渡による資金化の手段として広く利用されています。ただし、償還請求権や買戻特約がある契約は実質的な貸付にあたるおそれがあるため、契約形態の確認が重要です。
Q. 個人事業主の売掛金の資金化は給与ファクタリングになりますか?
なりません。個人事業主が事業の取引で保有する売掛債権の売却は事業者向けファクタリングの領域です。対象が「事業の売掛債権」か「個人の給与」かで全く異なります。
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